ポポーのハート3
ヒューとアイ
夜の丘の上に、二人の人影があった。
丘の周りには深い森が続いていたが、
その遥か先では夜の空を突き刺す
かのように炎が燃え上がってい た。
ヒューの隣でアイが言った。
「もうじき、此処も炎で覆い尽くされて
しまう・・・」ヒューは、その逞しい腕に
弓を握って矢をつがえると「ヒュー」
っと矢を射った。矢は、風切音を
残して空へ消えて行った。
ヒューは、空を見上げながら心の
中で叫んだ。「何故だ。何故、僕たちは、
こんなにも苦しまねばいけないのだ・・・・」
その時、 となりでアイが甲高い声を
上げた。「ほらみて、あそこに!」
アイの指さす方向には、ヒューの
放った矢の風切音に驚いたのか、
一羽のウサギが藪の中ら飛び出して
きていた。ヒューは素早く矢を
つがえると逃げるウサギの
鼻先目掛けて矢を放った。
ヒュッ、と音ともに矢は見事にウサギに
命中した。